セミナー:ソフトバンクによるボーダフォン買収


へ行ってきた。セミナー自体は事前の評判も高く、会場に入りきらないほどの盛況であった。

内容は、私風情がどうこう論評できるようなものではなく(正直難しかった)、
ビジネスパラダイムの話が中心となって進められるものであった。

内容については、
渡辺聡さんの、http://blog.japan.cnet.com/watanabe/archives/002733.html
R30さんの、http://shinta.tea-nifty.com/nikki/2006/03/331seminar_2099.html
        http://shinta.tea-nifty.com/nikki/2006/04/sbvf_seminar2_1_c02e.html#more
を参照のこと。

で、一つ思うのは、

  • おそらく、ソフトバンクは新しい価値観で市場のリストラクチャリングを行うであろうこと。
    既存キャリア2社(及び新規参入2社)はそのことを最も恐れるであろうということ。
  • その新しい価値観は、今のところ、広告分野が収益中心となって進められるであろうこと。価格競争により通信部分では収益を生みようが無く、かつ生活者がコンテンツにお金を払う文化は未だ根付いていない。
  • でも既存キャリア2社は、この「広告」という商売があまり上手ではない。なにしろ前身が前身だから。ということ。


Yahoo!は、今だって売り上げの半分近くを広告収入でまかなっており、今後の伸びしろがあるのもこの部分と思われる。ましてやモバイル広告市場は今年が開花年であり、新しい畑としての豊穣度はPCの比ではない。
しかもメディアにとっての広告ビジネスは、利益率のめっぽう高いおいしいビジネスである。
※この部分が、広告代理業が、10-20%マージンの世界を、結構な人件費を突っ込んでどうにか廻しているのと根本的に違うところ。
ネット専業のO社とCA社の会社全体の事業収益率が違うのも、CAは媒体社である側面を強く持つから。
(なんか考えてみたら、地主と小作人の関係のような気がしてきて欝だ...)


であれば今回のボーダフォン買収も、その視点も重要になってくると思う。


で、その場合に、往々にして勘違いしがちなのは
広告で一緒くたにしているけれど、果たしてそれが広告なのか販促なのかということ。

この2者で何が違ってくるかというと、

  • おサイフが違う。広告費は宣伝部、販促費は事業部というのがもともとの構図。
  • 今は一括で事業部預かりになるところも多いけれど、それでも広告費は宣伝費ほどROIに厳しくされない。
  • ネットはいまだに問答無用で販促費扱いになる場合が多い。(本当にオールドスクールな会社は未だに広報室扱いだったりもするが)


インタラクティブ広告市場はこの2者が区分けされずグチャグチャにカウントされている現状がある。
おそらくYahoo!の今クォーターの広告売り上げは200億を超えるだろうが、その中の4割はovertureのリスティング広告になるはず。
リスティングは、NECサーバ事例や芝浦の島事例を除けば、基本的には獲得効率が求められる販促。また残り6割のバナー広告のほうも、消費者金融に代表されるように、宣伝ではなく販促活動になっていることも多い。


なんとか2.0的に言えば、今後広告と販促の境目は薄れてくると思うが、参入を急いでいる以上は今のモデル上での侵攻が始まるはずである。
何のために参入を急ぎ、どこで収益を上げようとしているか。これは結構大事なことなはずだ。


ここらへんって「にわかGoogle怖い」な人たちは意外と未整理なことだと思う。
Googleの今現在の営業収入はAdWardsとAdSenseで、これは販促なのだけれどね。


その他にも、「Yahoo!はコンテンツディストリビューターではあるがコンテンツビルダーではない」とか「コンテンツマッチング、コンテキストマッチングは広告分野でも急速に浸透し始めている」とか色々あるけれど、次の機会に。